新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、世界各地で外出制限の措置が続くなか、長引く在宅生活によるストレスや心理的負担を和らげるための工夫も始まっています。
このうち、アメリカのシリコンバレーに拠点を置き、企業向けのアプリを提供している「ドットデータ」では、外出制限の措置を受け、現在、およそ40人のスタッフ全員が在宅で勤務しています。
在宅勤務が長引くにつれて、不安を感じるスタッフが少なくなかったため、各チームごとに毎朝1回、ビデオチャットアプリを使った会議を行うようにしたほか、週に1回はビデオ通話をつなぎ、顔を合わせた状態で昼食を取っています。
こうしたランチ会では、あえて仕事の話はせず、子どもに関する相談や、在宅生活の悩みなどの雑談をしているということです。
「ドットデータ」の藤巻遼平CEOは、「1週間や10日だけならよいですが、長引くにつれて気持ちが孤独になってしまう。気持ちを近くに保つために、顔を見て話すのを奨励しています」と話していました。
長引く外出制限で友人や同僚と会えなくなることの影響についてスタンフォード大学の心理学者ジャミル・ザキ准教授は、「感染拡大を抑止するために人と距離を取ることは大事だが、他人とつながりたいという人間の根本的な必要性と逆行することになる。孤独は心理学的には大きな悪影響があり、不眠やうつのほか、免疫力の低下や循環器系の問題につながる」と指摘しています。
そのうえで、人との接触を避けることを、距離があっても人つきあいできるようにする機会と捉え、前向きに考える必要があるとしています。
一方、カナダの宇宙飛行士のクリス・ハドフィールドさんはツイッターに動画を公開し、危険と隣り合わせの状況で、狭い空間の中で宇宙飛行士がどのような心構えで行動しているのか紹介しています。
この中でハドフィールドさんは、宇宙飛行士は状況をただおそれるのではなく、どのようなリスクに直面しているのか、具体的に理解することを大切にしていると説明しています。
そのために、信頼できる情報源に接し、自分や大切な人の周りにあるリスクを特定することが重要だと話しています。
そして、目標を設定し、それを達成するための課題を把握して毎日、着実な行動を取ることで、制限された空間の中でも、生産的に過ごすことができるとしています。
-- NHK NEWS WEB