アマゾンの電子書籍サービスで、一方的に漫画の配信を止められ損害を受けたと「海猿」などの人気作品で知られる漫画家の制作会社が訴えた裁判で、東京地方裁判所は訴えを退けました。
「海猿」や「ブラックジャックによろしく」などの人気漫画で知られる漫画家の佐藤秀峰さんの制作会社は、アマゾンの電子書籍の読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」への作品の提供をめぐって、平成28年に一方的に契約内容の見直しを迫られたうえ、配信を停止されたとして、アマゾンに対して2億円余りの賠償を求めました。
30日の判決で、東京地方裁判所の中村心裁判長は、アマゾンに取り次いだ業者と制作会社との間の契約について「いったん配信が始まった作品を、取次業者がキンドルアンリミテッドで配信し続けなければならないという規定は見当たらない」と指摘しました。
そのうえで「アマゾンによる不法行為は認められない」として、制作会社側の訴えを退けました。
このアマゾンのサービスをめぐっては平成28年のサービス開始後まもなく、配信が停止される書籍が続出し、大手出版社もアマゾンに改善を求める事態となりました。
判決について、漫画家の佐藤秀峰さんの制作会社は「主張が認められず誠に遺憾です。判決を真摯(しんし)に受け止めます。弊社を利用している作家の皆様の不利益を解消すべく尽力しましたが、作家の皆様に深くおわびします」とコメントしています。
一方、アマゾンジャパンは「本件についてはコメントを差し控えます」としています。
-- NHK NEWS WEB