新型コロナウイルスをめぐって、インターネット上には感染した人だとする名前を書き込んで非難する投稿が相次ぐなど、真偽の不確かな情報が広がっていて、専門家は「情報の発信には、責任を伴うことを意識すべきで、情報に接した人は、安易に拡散しないように心がけるべきだ」と注意を呼びかけています。
このうち、サークルの懇親会やゼミの送別会などに参加した学生や卒業生を中心に、「クラスター」と呼ばれる感染者の集団が発生した京都の大学については、感染した学生たちを非難する書き込みがSNSやインターネットの掲示板で相次いでいます。
ツイッターでは、感染した学生だとする2人を名指しして「拡散希望。海外に行き自宅待機もせずに懇親会に参加した当事者たち」と非難する投稿や、所属していたとするサークル名を上げて「今回のことで大学や学生の評判を地に落とした」などと書き込んでいるものも見られます。
真偽が不明の情報も多く、一部の投稿に対しては、デマだとして削除を求める投稿も見られます。
こうした情報が拡散していることについて、情報リテラシー教育に取り組んでいる大手IT企業の小木曽健さんは「情報を発信するということはそれが正しいのか間違っているかに関係なく責任を伴うもので、仮に正しかったとしても何を言っても許されるということではないと認識するべきです。例えば、ネットに名前を書き込んだことでその相手が店を経営していて損失を受けた場合などはその損失を補償する法的な責任が負わされる可能性もあります」と話しています。
また、感染した人の個人情報を特定したり、非難したりする行為が過熱すると、感染したかもしれないと考えている人が名乗り出ることをためらうようになるなど、感染拡大の抑止にも悪い影響を与えるおそれがあると指摘しています。
そのうえで、「リツイートしたりコピーしたりすることも情報を発信することに変わりはなく、受け手側がその情報がうそなのか本当なのかを意識して、情報に流されずに分別していくことが大事だと思います」と話しています。
-- NHK NEWS WEB