北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏が殺害された事件で、捜査への非難をエスカレートさせている北朝鮮に対して、マレーシアでは反発が広がっていて、事件は両国の関係に大きな影響を及ぼしています。
この事件でマレーシアの警察は北朝鮮に対して、事件直後にマレーシアを出国した北朝鮮国籍の容疑者4人の引き渡しを求めているほか、北朝鮮大使館の2等書記官と、北朝鮮の航空会社の職員から事件について事情を聴きたいとして、捜査に協力するよう求めています。
しかし、北朝鮮側は23日、国営メディアが「捜査は不備と矛盾だらけだ。意図的にわれわれに疑いをかけている」とした談話を伝え、マレーシアの警察当局への非難をエスカレートさせています。これに対してマレーシアでは反発が広がっていて、23日は与党の議員ら30人が北朝鮮大使館前で抗議活動を行い、グループの代表は「北朝鮮との外交関係を見直すべきだ」と述べて、北朝鮮の国民がマレーシアをビザなしで訪問できる現在の制度を廃止するよう訴えました。
マレーシア政府は、すでに北朝鮮に駐在する大使を一時帰国させたほか、ナジブ首相も21日、北朝鮮の対応について「外交的に無礼だ」と述べるなど、政権からも批判の声が上がっています。
マレーシアの警察としては、法律にしたがって捜査を積み重ね、事件の全容解明を目指す方針ですが、北朝鮮側が捜査への非難を続ける中、事件は両国の関係に大きな影響を及ぼしています。
-- NHK NEWS WEB