国内の大手製薬会社は、新型コロナウイルスの治療薬の開発を進めているほか、既存の薬の有効性を確かめる臨床試験を急いでいます。
このうち、武田薬品工業は新型コロナウイルスの感染症から完全に回復した患者の血液に含まれる抗体を使った治療薬の開発に乗り出しています。
開発に当たってはアメリカやヨーロッパの製薬会社5社と提携して患者の血液の採取から薬の製造までを共同で進めていて、ことし夏ごろには新薬の臨床試験を日本やアメリカなどで行うことを目指しています。
一方、中外製薬は関節リウマチなどの治療薬として使われている「アクテムラ」を転用し、新型コロナウイルスに感染して重症化した肺炎患者への効果を確かめる臨床試験の準備を進めています。
「アクテムラ」は免疫の働きを高める「インターロイキン6」という物質が過剰に作られて免疫の仕組みが暴走するのを抑える薬で、新型コロナウイルスでもインターロイキン6を抑制すれば重症化した患者の症状の改善につながるのか確認するとしています。
また、富士フイルムの子会社が開発した新型インフルエンザの治療薬「アビガン」については、国の承認を目指して臨床試験が今月からすでに始まっています。
アメリカや中国など世界各国の製薬会社も開発を急いでいて、日本の製薬会社が治療薬をいち早く実用化できるか注目されます。
-- NHK NEWS WEB