世界的なマスク争奪戦の影響で不織布などの原材料価格が高騰していて、供給量を増やそうとしている日本のマスクメーカーは苦しい立場に置かれています。
名古屋市に本社がある大手マスクメーカーの白鳩は、今月20日から、市内の工場を2交代制にし、生産量をおよそ2倍に増やしています。
国内ではこれ以上の増産は難しいため、生産を委託している中国の工場から、輸入を増やそうとしています。しかし、現地からの輸入を思うように増やせない状況になっています。
中国では、欧米の政府やメーカーがマスクを大量に確保しようと高値で買い付けを進めた影響で、マスクそのものだけでなく、不織布やゴムのひもなど原材料の価格がおよそ10倍に値上がりしています。
採算をとるためには、国内での販売価格を大幅に引き上げる必要がありますが、納入先のスーパーなどは消費者からの反発を受けかねないとして小売価格の値上げには慎重な立場です。
このメーカーでは、マスク不足の解消に向けては中国からの輸入を増やすしかなく、そのためには国内の小売価格にコスト上昇分を適正に反映させる必要があると考えています。
白鳩の津田武常務は「短期間で抜本的な解決を図るならば、他国と同じように政府がお金を持って中国の工場をおさえ、マスクを引っ張ってくるくらいしかない。一方、今の相場のもとでの適正な価格について、消費者に理解してもらえる仕組みがあれば、恐れることなく中国から買うことができる」と述べ、マスクの値上げには消費者の理解が得られるかが重要だと指摘しました。
-- NHK NEWS WEB