新型コロナウイルスの感染拡大で、駅や鉄道の利用客などが大きく落ち込み、駅弁業界にも深刻な影響がでています。
JRの関連会社や業界団体によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大で、新幹線をはじめとする鉄道の利用が落ち込み、その影響で駅弁の売り上げも激減しているということです。
このうち、東京 荒川区にある弁当製造大手の「日本ばし大増」は創業120年の老舗で、東京の名物駅弁「深川めし」をはじめ数多くの駅弁を作っていて、東京駅などの売店に卸しています。
ここでは新型コロナウイルスの影響で3月ごろから売り上げが大きく落ち込み始め、先月の売り上げは例年の10%ほどまで落ち込んでいるといいます。
さらに深刻なのは”かき入れ時”の大型連休のこの時期に、売り上げが激減することです。
この会社では、大型連休やお盆の時期の売り上げでオフシーズンの穴埋めをしているということですが、ことしは逆に大赤字となっているということです。
このため会社では少しでも赤字を減らそうと、製造する駅弁などの商品も通常の60種類ほどから数種類にまで絞り、製造ラインや作業時間も大幅に減らすなどしていますが、すでに影響は甚大だといいます。
この会社では9年前の東日本大震災の際には、震災からおよそ3か月後には売り上げはほぼ回復したということですが、今回は、回復までどのくらい時間がかかるのか、全く見通せないとしています。
「日本ばし大増」の黒田裕社長は「弁当屋の多くは大型連休やお盆などで稼いで、ほかの時期の売り上げをカバーする構造になっている。それなのに今回は穴埋めどころか逆に大赤字になる。駅弁は“ハレの日”の商売なので人が外に出ないとどうしようもない。一刻も早く収束しないと本当に事業が立ちゆかなくなる危機的な状況だ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB