緊急事態宣言の延長について、民間のエコノミストは経済的な損失が個人消費を中心に一段と大きくなるとみています。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、外出や営業の自粛などがおよそ2か月にわたって続けば、個人消費が27.8兆円減少すると見込んでいます。さらに宣言が解除されたとしても、しばらくは感染拡大を防ぐため活発な消費は控えられるとして、ことし4月から9月までで個人消費だけで47兆円が失われ、2020年のGDPが8.5%押し下げられると試算しています。
一方、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、個人消費に加えさまざまな企業の投資などが停滞することを含めて試算しました。その結果、今月31日まで延長されたことでそれまでのGDPは合わせて45兆円、率にして8.4%押し下げられ、大きな経済的損失になるとみています。
熊野首席エコノミストは、「特定警戒都道府県以外では一部、外出自粛が緩和されることになるが、これらの地域はGDP全体に占める割合は35%程度と小さい。加えて、都道府県をまたいだ移動の自粛は継続され、企業の活動は十分改善されないため、経済への影響は依然として大きくなるだろう」と述べました。
そのうえで「今後の焦点は各自治体による休業要請がどの程度続くのかと、休業補償や家賃援助といった追加の経済対策がどの程度講じられるかだ。宣言の延長に伴って経済損失はより大きくなることから経済対策も追加で必要になってくる。ただし、財政規律の課題をバランスよく議論することが重要になってくる」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB