アメリカのポンペイオ国務長官が新型コロナウイルスが中国の研究所から広がった可能性があるという主張について「多くの証拠がある」と述べたことについて、WHO=世界保健機関の危機対応の統括は「明確な証拠は提出されておらず、推論にすぎない」と述べ、引き続き科学的に発生源を調べていく考えを示しました。
アメリカのポンペイオ国務長官は3日、新型コロナウイルスが中国湖北省の武漢にある研究所から広がった可能性があるという主張をめぐり、「多くの証拠がある」と述べたほか、トランプ大統領も具体的な根拠に言及せず「中国はひどい間違いを犯したと思う」と述べて批判しました。
WHOで危機対応の統括を務めるライアン氏は4日、スイス・ジュネーブの本部での定例記者会見で、「ウイルスの発生源に関してアメリカからデータや明確な証拠は提出されていない。武漢の研究所から発生したというのは推論にすぎない」と述べ、引き続き、科学的に発生源を調べていく考えを示しました。
また、アメリカに本社がある「ギリアド・サイエンシズ」がエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた「レムデシビル」が、新型コロナウイルスの患者の回復を早めると確認されたことについて、「治療に使える可能性を示す希望の表れであり、結果を歓迎する」と述べました。
そのうえで、「効果を示すデータをさらに得たら、どうやって広く供給できるか製薬会社とアメリカ政府と議論していく」と述べ、新型コロナウイルスの治療薬として使用する国や地域が増えた場合、公平に分配されるようWHOとして働きかけていく考えを示しました。
-- NHK NEWS WEB