フィリピンのドゥテルテ政権は、政府に批判的な報道を続けてきた国内最大手の民放テレビ局に業務停止命令を出し、フィリピン国内では、報道の自由を抑圧する措置だと批判が高まっています。
フィリピン国家通信委員会は5日午後、国内最大手の民放テレビ局ABS−CBNに対して、放送免許の期限が4日で切れたとして業務停止命令を出しました。ABSーCBN側には不服申し立ての期間として10日間、与えられるということです。
ABS−CBNの放送免許をめぐってはフィリピン議会が更新に必要な法案の審議を続けてきましたが、新型コロナウイルスの影響で停滞したため、審議が終わるまでは、暫定的に放送を続けられることになっていました。政府側も同じ認識を示していましたが、突然、翻した格好です。
ドゥテルテ大統領は、これまでABSーCBNの政府に批判的な報道に不満を示し「免許が更新されると思わないほうがいい」と警告していました。
業務停止命令が出されたことについて、ABS−CBNは「新型コロナウイルスの感染が広がる非常時に国民はニュースを失った。政府は放送免許を認めることが国民の最大の利益であると認識すべきだ」とコメントを出しました。
フィリピン議会からも「議会を無視した恣意(しい)的な命令だ」といった意見が出るなどフィリピン国内では報道の自由を抑圧する措置だと批判が高まっています。
-- NHK NEWS WEB