新型コロナウイルスの感染が、世界で最も深刻なアメリカでは、在宅でオンライン学習をする子どもたちに不足しているタブレット端末を、政府だけでなく市民団体が配布するなど、教育格差を生まないよう市民社会が取り組みを行っています。
アメリカでは休校が続く中、子どもたちは与えられた課題に自宅で取り組んだり、オンライン授業で学習したりしていますが、インターネットにアクセスできなかったり、パソコンやタブレット端末を持っていなかったりする家庭も少なくありません。
アメリカ最大の都市・ニューヨーク市は先月、タブレット端末24万台を配布すると発表しましたが、全米各地では、政府の対応の遅れを埋めようと、民間が支援に乗り出しています。
このうち、南部テキサス州ヒューストンに本拠地がある、子どものIT教育を支援する市民団体は、先月からドライブスルー方式で、子どものいる家庭にパソコンを無償で提供する活動を始め、その後、全米に活動を広げた結果、これまでに1万6000台を配布したということです。
このほか、中西部ミシガン州の都市デトロイトでは、企業や慈善団体から集めた2300万ドルの寄付をもとに、公共教育を支援する財団が、今月下旬からこの夏までに、5万1000台のタブレット端末と、半年間のWi−Fiサービスを、必要な世帯に提供することを計画しています。
デトロイト公立学校財団のパメラ・ムーア代表は8日、NHKの取材に対し、デトロイトでは8割以上の生徒がオンラインのための教材を利用できていないと指摘し、「政府の対応はいつも遅い。われわれは迅速に行動できる」と答え、在宅学習が長期化する中で、教育格差を生まないよう、市民社会の取り組みが重要だと強調しました。
-- NHK NEWS WEB