家族の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」が問題になる中、働く女性たちに、早い時期から介護が必要になったときの生活のイメージを持ち、将来の備えについて考えてもらおうという催しが東京で開かれました。
催しは大手広告代理店が行ったもので、東京・品川区の会場には都内の企業で働く30代から40代の女性11人が参加しました。
まず、参加者たちはアイマスクを着けて目が見えない状態となり、薄暗い部屋でアナウンスを聞きながら食事をします。40年後、自分が高齢者となり、認知症が始まったという想定です。
部屋には若い女性から食べこぼしをとがめられたり、軽くあしらわれたりする会話の音声などが流れ、参加者たちは耳からの情報だけで、年老いた自分の姿を想像します。
このあと食事中に考えたことについて話し合い、参加者たちは「家族の中で1人だけできず、迷惑をかけている状況がつらい」とか、「介護の負担を1人に偏らせないためにも、家族や友人、地域の人に困ったときに頼れる関係を作っておく必要があると感じた」などと話していました。
催しに参加した高齢者住宅を運営する下河原忠道さんは「認知症や老後の生活を自分のこととして考え、若い世代から『こういう生活をしたい』と打ち出すことは今の社会をよりよくするためのヒントになると思う」と話していました。
-- NHK NEWS WEB