麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が深刻化していることを受けて、22日会談し、異例の共同談話を発表しました。この中で「事態を収束させるためにあらゆる手段を講じる」とし、経済の回復に向けて政府と日銀が連携を強める姿勢を示しました。
麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁は22日午後6時すぎから経済・金融政策をめぐって東京都内で会談し、終了後、異例となる共同談話を発表しました。
談話では、感染収束までに必要な期間や世界各国の動向などについて不確実性があるとしたうえで、「政府と日銀は施策の実施を通じて、企業金融の円滑化と金融市場の安定に努め、事態を収束させるためにあらゆる手段を講じる」としました。
そして「感染収束後に日本経済を再び確かな成長軌道へと回復させていくために、一体となって取り組んでいく」とし、政府と日銀が連携を強める姿勢を示しました。感染の拡大によって日本経済はリーマンショック時を超える大幅な落ち込みになるという予測もあり、22日発表された先月の消費者物価指数は、世界経済の停滞を背景に原油価格が下落した影響で3年4か月ぶりにマイナスに転じました。
こうした中、政府は事業規模で117兆円となる緊急経済対策を実行するため今年度の第1次補正予算を成立させ、第2次補正予算案の編成作業も進めています。
一方、日銀は、22日開いた臨時の金融政策決定会合で、政府が経済対策として実施している民間の金融機関による実質無利子・無担保の融資を後押しする、新たな制度の追加を決めました。
そして、共同で談話を発表することで政府と日銀が足並みをそろえ、経済の回復に向けて対応していく姿勢をアピールするねらいがあるとみられます。
財務大臣と日銀総裁による共同談話は、イギリスのEUからの離脱を問う国民投票が行われ、金融市場が不安定化した2016年6月以来、およそ4年ぶりです。
-- NHK NEWS WEB