北朝鮮の工作機関である偵察総局が、国際社会の制裁を逃れるため、マレーシアの企業を介して軍事用の無線機器の取り引きを行っていたことが国連の報告書で明らかになり、北朝鮮が、マレーシアを拠点に工作活動を活発に行っていた実態が改めて浮き彫りとなりました。
ロイター通信などは、国連安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁の履行状況を検証する専門家パネルの報告書の一部を伝えました。
それによりますと、去年7月、東アフリカのエリトリアに向かっていた航空貨物から北朝鮮製の軍事用の無線機器などが押収され、機器にはマレーシアの企業のラベルが貼ってあったということです。このマレーシアの企業は、クアラルンプール中心部に事務所を置く「グローコム」社で、北朝鮮の工作機関、偵察総局が運営していたということです。
北朝鮮は、国連安保理の制裁決議で、無線機器を含む武器などの取り引きを禁じられていますが、北朝鮮が制裁を逃れるため、マレーシアの企業を介して軍事用の無線機器の取り引きを行っていたことがわかりました。
企業のホームページでは軍事用のさまざまな通信機器を扱っているとしていますが、事務所となっている建物の4階の部屋は看板はなく、同じビルで働く人によりますとここ数年は、ほとんど人の出入りがないということです。また、この事務所と同じ住所には、ほかにも北朝鮮に関連していると見られる会社が登録されています。
これまでのところ、この企業と、キム・ジョンナム氏が殺害された事件との関わりはないと見られていますが、北朝鮮が、マレーシアを拠点に工作活動を活発に行っていた実態が改めて浮き彫りとなりました。
-- NHK NEWS WEB