安倍総理大臣は記者会見で、緊急事態宣言を全国で解除することを正式に表明し、段階的に社会経済活動を再開していく方針を示しました。また、第2次補正予算案を27日、閣議決定し、店舗の賃料負担を軽減するための最大600万円の新たな給付金の創設や、「地方創生臨時交付金」を2兆円増額することを明らかにしました。
この中で、安倍総理大臣は、緊急事態宣言について、「世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国的にクリアしたと判断した」と述べ、全国での解除を正式に表明しました。
そのうえで、「罰則を伴う強制的な外出規制などを実施できない日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができ、『日本モデル』の力を示した」と述べ、国民の協力に謝意を示しました。
また、今後の対応について、「目指すは、『新たな日常』を作り上げることだ。社会経済活動を厳しく制限するやり方では、仕事や暮らしそのものが立ち行かなくなる。これからは、『感染リスクをコントロールしながら、どうすれば実施できるか』という発想が重要だ」と述べました。
そして、来月始まるプロ野球の観客やコンサートなどのイベントの参加人数を徐々に増加させるなどとした具体例を挙げ、段階的に社会経済活動を再開していく方針を示しました。
また、安倍総理大臣は、今年度の第2次補正予算案を、27日閣議決定し、事業規模が第1次補正予算と合わせて200兆円を超えることを明らかにしました。
そして、「GDPの4割にのぼる空前絶後の規模、世界最大の対策で、100年に1度の危機から日本経済を守り抜く」と強調しました。さらに、事業の継続に向けて、「オールジャパンで、圧倒的な量の資金を投入する」と述べ、総額130兆円を超える資金繰り支援を実施する考えを示しました。
そのうえで、
▽店舗の賃料の負担軽減のため、最大600万円の新たな給付金を創設することや、
▽中小企業などに対する「持続化給付金」の対象に、ことし創業したベンチャー企業も加えること、
それに、
▽「地方創生臨時交付金」を2兆円増額することを明らかにしました。
一方、安倍総理大臣は、感染の再拡大を防ぐため、手洗いやマスクの着用など基本的な感染防止策や、いわゆる「3つの密」の回避など「新しい生活様式」に取り組むよう求めました。
また、繁華街の接待を伴う飲食店やライブハウスへの出入りも緩和するため、来月中旬をめどにガイドラインを策定し、上限200万円の補助金で、感染防止対策を講じるための支援を行う考えを示しました。
さらに、感染再拡大の兆候を速やかに把握するため、
▽濃厚接触者を確認するスマートフォン向けのアプリを来月中旬をめどに導入するほか、
▽PCR検査の一層の拡充を進める方針を示しました。
一方、医療提供体制の強化に向けて、2兆円を超える予算を積み増し、全国で「新型コロナ重点医療機関」を指定して、十分な専用病床を確保するとともに、医師や看護師、介護施設の職員などを対象に最大20万円を支給することを明らかにしました。
また、安倍総理大臣は、香港や台湾に対する中国政府の対応などを念頭に、「内向きな発想では、この世界的課題を根本的に解決することはできない。世界の政治経済をリードしてきた国々の多くが国内の対応で手いっぱいとなっており、そこに隙が生まれる事態は決してあってはならない」と指摘しました。
そして、「自由や民主主義などの価値を共有する国々と手を携え、自由かつ開かれた形で世界の感染症対策をリードしていく」と述べ、治療薬やワクチンを途上国を含めた世界各国に普及させるため、特許を管理する国際的な枠組みの創設を、来月予定されるG7サミット=主要7か国首脳会議で提案する考えを明らかにしました。
-- NHK NEWS WEB