北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏がマレーシアで殺害された事件で、事件直後に出国した北朝鮮国籍の容疑者4人を空港で見送ったとされる北朝鮮大使館の2等書記官らは、事件があったターミナルとは別のターミナルにいたと見られることが分かり、容疑者の1人が別行動をとった可能性が出ています。
この事件で、マレーシアの警察は、北朝鮮国籍の容疑者4人がすでに北朝鮮に戻ったと見ていて、北朝鮮に対し、4人の引き渡しを求めるとともに、北朝鮮大使館の2等書記官と、国営航空会社の職員が何らかの事情を知っていると見て事情聴取への協力を要請しています。
マレーシアの地元メディアは、2等書記官らが空港で容疑者4人を見送る姿が監視カメラに写っていたと伝え、4人とも事件があった第2ターミナルからインドネシアのジャカルタ行きの便で出国したという見方が強まっていました。
しかし、警察が公開した書記官ら2人の写真の背景に写っていた床の模様は、事件のあった第2ターミナルにはなく、第1ターミナルにだけある模様だと分かりました。
さらに、経由先のインドネシアの国際空港の監視カメラには、4人の容疑者のうちオ・ジョンギル容疑者を除く3人しか写っていなかったことも分かっています。
このため、オ容疑者だけがほかの3人と別行動をとり、書記官らはオ容疑者を見送るために第1ターミナルにいた可能性が出ています。オ容疑者をめぐっては、事件の主犯格という見方を示す関係者もいて、警察が公開した写真でも、帽子をまぶかにかぶるなど監視カメラを警戒している様子がうかがえます。
-- NHK NEWS WEB