新型コロナウイルスのワクチンの研究が国内外で進む中、茨城県つくば市にあるバイオベンチャー企業の研究所では、ウイルスの遺伝子の一部を別の無害なウイルスに組み込む新しい技術によるワクチンの開発を進めています。
新型コロナウイルスに対しては、ウイルスの遺伝子の一部や、人工的に作った「抗原」と呼ばれるたんぱく質を使う新しい技術によるワクチンの開発が進められています。
東京に本社がある「アイロムグループ」のバイオベンチャー企業、「IDファーマ」は、つくば市にある研究所で、新型コロナウイルスの遺伝子の一部を、ベクターと呼ばれる別の無害なウイルスに組み込んで送り込む、新しいタイプのワクチン開発を進めています。
このワクチンでは、体内で抗原と呼ばれるたんぱく質ができ免疫の仕組みが反応して、新型コロナウイルスを排除する抗体ができると期待されています。
ウイルスそのものではなく、遺伝子の一部を使うことで開発時の感染リスクが下げられるほか、別の無害なウイルスに組み込むことで、ほかのワクチンより強い免疫の反応を起こすことができるとしています。
国立感染症研究所や上海の大学の研究機関とそれぞれ連携して研究を進めていて、6月から動物実験を始める予定で、ことし9月を目標に、人に投与する臨床試験を始めたいとしています。
IDファーマの草野好司遺伝子創薬室長は「いち早くワクチンを開発できるように日々励んでいますが、急いでも2年から3年ほどはかかってしまうと思います。臨床実験を効率よく行えるよう国からの支援を求めたいです」と話しています。
-- NHK NEWS WEB