太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決を目指して、韓国の国会議長が去年12月、与野党の一部の議員と共同で提出していた法案は30日午前0時をもって廃案となりました。この法案は、日韓請求権協定に反しない形だとして日本側に評価する声もありましたが、一度も審議されませんでした。
韓国の国会で去年12月、ムン・ヒサン(文喜相)議長が、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決を目指す法案を、与野党の議員13人と共同で提出しました。
法案は、日韓両国の企業や国民から寄付金を募って財団をつくり、「徴用」による被害を訴えて日本企業に勝訴した原告などに慰謝料を支払うとする内容で、1965年の日韓請求権協定に反しない形だとして日本側に評価する声もありました。
しかし原告側は、あくまで被告の日本企業が賠償を行うべきだとして撤回を求め、韓国大統領府も懐疑的な見方を示す中で、法案は一度も審議されないまま、現職議員の任期満了に伴い、30日午前0時をもって廃案となりました。
法案の成立に意欲を見せていたムン議長が今期限りで政界を引退することもあって、次の国会で法案が再提出される可能性は低いとみられています。
「徴用」をめぐる問題では、原告側が韓国国内で差し押さえた被告の日本企業の資産を売却して現金化するための手続きを進めており、解決の糸口は依然として見いだせていません。
-- NHK NEWS WEB