新型コロナウイルスの影響で世界各地で観光産業が大きな打撃を受けましたが、ヨーロッパなどでは夏のバカンスシーズンに向けて観光施設を再開させる動きが出ています。一方で、観光客の間では感染リスクを抑えたいとして国外旅行を避ける傾向が強く、この夏の観光は国内や近場が中心になると見られます。
観光はヨーロッパの主力産業の1つで、国連によりますと、2017年にEU=ヨーロッパ連合を域外から訪れた観光客は5億3800万人に上りました。
新型コロナウイルスの影響で観光産業は大きな打撃を受けましたが、ヨーロッパ各国は、感染のピークを過ぎたとして先月から再び観光客を受け入れる方針を相次いで打ち出し、ホテルの営業再開を認めたり、周辺諸国との国境の完全開放を目指したりしています。
一方で、アメリカの旅行関連会社が世界中の顧客に行った調査では、新型コロナウイルスの感染が終息していない中、
▽国外旅行について「怖い」と答えた人が46%と、「怖くない」の32%を上回ったのに対し、
▽国内旅行については「怖い」が33%、「怖くない」が45%と、近場への観光のほうが安心感が高いことが分かりました。
こうしたことからヨーロッパの大手旅行予約サイトなどは、この夏の観光は国内や近場が中心になるとみて、国内旅行に力を入れたキャンペーンを始めています。
観光業の立て直しに向け、感染対策を講じたうえで旅行客の需要をどこまで喚起できるかが注目されます。
-- NHK NEWS WEB