ノーベル医学・生理学賞の受賞者で京都大学特別教授の本庶佑さんが、みずから開発に携わったがんの治療薬を製造販売する大阪の小野薬品工業に対し、協力金226億円余りなどの支払いを求める訴えを今月中旬にも裁判所に起こす方針を明らかにしました。
これは5日、本庶さんが弁護士や大学関係者とともに記者会見を開いて明らかにしました。
それによりますと、本庶さんは小野薬品工業と共同で開発したがんを免疫の力で治療する薬「オプジーボ」について、アメリカの製薬会社と争った特許侵害の裁判の際、小野薬品工業の社長から協力してほしいという依頼があったということです。
小野薬品工業などは裁判で和解し、本庶さんなどによりますと、会社側は裁判の結果得られる金額の40%を支払うとしたのに対し、実際は1%しか払われなかったとしています。
本庶さんは、協力金の未払い分226億円余りなどの支払いを求める訴えを今月中旬にも大阪地方裁判所に起こす方針だということです。
本庶さんは、小野薬品工業と結んでいる薬の特許料の配分についても、配分を高めるよう契約の見直しなどを求める訴えを起こすかどうか、今後、検討したいとしています。
本庶さんは「日本では、企業が研究者の無知を悪用して非常に一方的な契約を結ばせるという問題が頻発している。知的活動の価値を正しく評価してもらいたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB