アメリカのIT企業が提供するテレビ会議システム「Zoom」が、インターネット上で天安門事件に関するイベントを開催したアメリカの人権団体のアカウントを一時停止したことが分かりました。イベントの動画は中国でも再生されたということで、IT企業を取り巻く中国当局の厳しい規制が影響しているのではないかという見方も出ています。
アカウントが一時停止されたのは、1989年に中国の北京で起きた天安門事件の際に、民主化を求める運動に参加した周鋒鎖さんが現在暮らしているアメリカで設立した人権団体です。
この団体は先月31日、天安門事件から31年となるのに合わせて、「Zoom」を使ってインターネット上で当時の状況を伝えるイベントを開催しました。
欧米メディアによりますと、イベントには250人以上が参加し、録画された動画は中国などで4000回以上再生されましたが、今月7日、団体のアカウントが利用できなくなったということです。
Zoomの広報担当者は、アカウントを停止したことを認めたうえで「複数の国から参加する会議では参加者はそれぞれの国の法律に従うことが求められる」と説明したと、欧米メディアは伝えています。
一方、周さんは10日、ツイッターでアカウントが復旧したことを明らかにしたうえで、「Zoomからいかなる回答も得られていない。アカウントがなぜ停止されたのか知りたい」と詳しい説明を求めています。
フランスのAFP通信は、IT企業を取り巻く中国当局の厳しい規制が影響しているのではないかという見方を示しています。
-- NHK NEWS WEB