新型コロナウイルスのワクチン開発に取り組んでいるタイの研究チームは、現在行っている動物を使った研究が順調に進んでおり、ことし10月にも、臨床試験を始めるとの見通しを明らかにしました。
タイでワクチンの研究をリードする国立チュラロンコン大学は、ウイルスの遺伝子の一部を使って免疫の反応を引き起こす技術で先月から、タイ中部にある霊長類研究センターで、サルへのワクチン投与を始めています。
研究の責任者らは22日、現地で会見を開き、サルの体内では満足のいくレベルで抗体が作られ、健康への悪影響も見られていないと説明しました。そのうえで、ことし10月にもヒトへの有効性や安全性を確かめる臨床試験を開始するとの見通しを示しました。そして、来年のうちに、国内や周辺国でワクチンを安い価格で提供したいとしています。
ワクチン開発を巡っては、欧米や中国の製薬会社の一部がすでに臨床試験を開始していますが、世界各国に提供されるまでには時間がかかるとの指摘もあります。
研究チームを率いるキアット・ラックルンタム教授は「他国の開発をただ座して待ち、ワクチンを買う金を用意しておくだけでは正しい戦略とは言えない」と述べ、自国で開発することの重要性を強調しました。
タイ政府は、日本円で100億円を超える予算を用意し、国内の研究機関によるワクチンの開発を後押ししていて、国際的なワクチンの開発競争が活発になっています。
-- NHK NEWS WEB