宇宙ごみの問題の対策につなげようと、福岡県の中小企業などのグループが開発し、ことし1月、国際宇宙ステーションから放出された超小型衛星が、ヨットの帆のようにフィルムを広げてみずから地球の大気圏に突入し燃え尽きるという世界でも初めての技術の実験に成功しました。
超小型衛星が宇宙ごみにならないようにする新たな技術に挑んだのは、福岡県広川町の工作機械メーカー、中島田鉄工所と東北大学のグループで、開発した大きさ10センチほどの超小型衛星は、ことし1月、地球の上空、高度400キロ付近を飛行する国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出されました。
放出された衛星では、縦横1.5メートルのフィルムをヨットの帆のように広げ、地球の周辺の宇宙空間にあるわずかな空気の抵抗を受けて高度を下げることで、みずから大気圏に突入し燃え尽きることができるか実験していました。
その結果、アメリカの宇宙関連機関が追跡した、3週間後の先月6日のデータでは、衛星が高度250キロ付近まで下がったことが確認され、その翌日には、大気圏に突入したと見られることがわかったということです。
こうしたデータから研究グループは、1日、世界でも初めてとなる一連の技術の実験に成功したと発表しました。
実験に成功したことについて、中島田鉄工所は「これまで研究に取り組んできたことの成果があらわれ、とてもうれしい。今後、超小型衛星の数は増え続けると予想され、宇宙ごみになるのを防ぐ技術が求められている。私たちの技術が日本や世界の超小型衛星に幅広く利用されるものになるよう、実用化に向けてさらに取り組んでいきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB