香港で反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行されたことを受けて、関係機関の運用に向けた動きが本格化しています。国際社会には懸念の声が広がっていて、国際的な金融センターとしての地位が揺らぎかねないという見方も出ています。
香港では法律の施行を受けて新たに設置される「国家安全維持委員会」の事務局長を、2日、中国政府が任命するなど関係機関の運用に向けた動きが本格化しています。
法律の施行をめぐっては国際社会に懸念の声が広がっていてアメリカ政府は香港に認めている貿易や金融取引などの優遇措置について一部の例外を除いて撤廃する方針を示しています。
また、イギリス政府は、1997年に香港を返還するまで現地で発行していたパスポートを持つ人などを、イギリスに5年間滞在できるようにして将来的に市民権を取得する道をひらくと発表したほか、オーストラリアも2日、モリソン首相が移住を希望する香港の住民の受け入れを検討していると明らかにしました。
こうした動きに加えて、法律の施行によって中国の政治的な関与が強まり自由なビジネス環境に影響が出ることも懸念されていて企業関係者や専門家の間では今後、国際的な金融センターとしての地位が揺らぎかねないという見方も出ています。
香港の金融市場に詳しいみずほ銀行東アジア資金部の原田雄一朗部長は「短期的な影響は今のところ想定していないものの今後、香港の経済が萎縮し長期的には大きな影響が出る可能性は否定できない」などと指摘しています。
-- NHK NEWS WEB