政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対応する費用が巨額に膨らむことから今後、賠償や廃炉などを確実に進めていくには国が引き続き、東電の経営権を握っていく必要があるとして、今の実質国有化を長期化させる方針を固めました。
政府は原発事故のあと、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を通じて、東京電力の株式の50.1%を保有し、実質的に国有化していますが、現在の計画では経営状況を見極めながら、新年度以降、東電株を売却するなどして、国の関与を次第に弱めていくことになっています。
しかし、政府は去年12月、原発事故の賠償、廃炉、除染などにかかる費用がおよそ2倍の21兆5000億円に膨らむという試算を新たにまとめました。こうした厳しい事態を受けて、政府は今後、賠償や廃炉などを確実に進めていくには、国が引き続き、東電の経営権を握っていく必要があるとして、今の実質国有化を長期化させる方針を固めました。
ただ、この場合、4兆円に上るという除染の費用を、東電株の売却益で賄うという今の計画は果たせません。
このため、政府は新たな財源として、東京電力と中部電力の火力発電事業を統合した新会社の株式を上場させて、その売却益を充てることや、送配電事業を手がけるグループ会社の株式の一部を売却することなども検討していて、政府は、こうした方針をこの春、3年ぶりに改定する東電の新たな事業計画に盛り込む考えです。
-- NHK NEWS WEB