アメリカの失業率は11%台と、依然厳しい状況が続いていますが、この夏以降、雇用情勢が一段と悪化しかねないという懸念が出ています。
アメリカ政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中小企業に対して従業員の雇用を維持させようと総額70兆円の緊急の支援制度を設けていますがすでに460万社が活用し、8割の予算が消化されています。
市場関係者などの間では、資金支援がなくなれば、企業が雇用を維持できなくなるとして、こうした状況を「雇用の崖」と呼んで、この夏以降、雇用情勢が一段と悪化しかねないという懸念が出ています。
製造業が集積する中西部ミシガン州で、GM=ゼネラル・モーターズの2次下請けにあたる機械メーカーも、150人の雇用を維持できるか不安を抱えています。
8月はじめには、国の支援金が尽きることから、30%も減少している受注がこのまま回復しなければ、従業員を削減せざるをえないと考えています。
CEOのボブ・ロスさんは「経営の底がどこにあるか見えません。すでに従業員の労働時間を短縮していますが、これが9月まで続けば、残念ながら解雇を検討しなければいけません」と話しています。
アメリカのことし4月から6月のGDP=国内総生産の伸び率は、前の3か月と比べて、年率で、マイナス30%から40%の記録的な落ち込みになると予想されていますが、雇用の回復が遅れれば、景気の後退が長期化するおそれもあり、アメリカ政府の次の一手が注目されます。
-- NHK NEWS WEB