アメリカ通商代表部は年次報告で、トランプ政権は「貿易政策ではアメリカの主権を守る」として、WTO=世界貿易機関の紛争処理で、アメリカに不利な判断が出た場合、必ずしも従わないなどとする方針を示し、各国などから反発が出ることも予想されます。
アメリカ通商代表部は1日、貿易などの通商政策の課題を年次報告にまとめ、議会に提出しました。
それによりますと、世界経済は為替操作や知的財産を盗み取る行為、それに外国政府による不当な補助金などによってゆがめられてきたとして、「トランプ政権はアメリカの労働者や企業に被害を与える不公平な貿易慣行を許さない」としています。そのうえで、「トランプ政権は貿易政策をめぐる問題では、積極的にアメリカの主権を守る」として、WTOの紛争処理でアメリカに不利な判断が出た場合、必ずしも従わないとする方針を示しています。
ただ、アメリカのメディアは、WTOの判断に従わない場合に、ほかの国からの報復を招く可能性があり、WTOに基づく自由貿易体制を脅かしかねないなどと指摘しています。
また、与党・共和党内からも批判的な受け止めが出ていると伝えていて、各国などから反発が出ることも予想されます。
一方、報告では、トランプ政権はTPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱したことを受けて、日本など各国との間で2国間の貿易協定の締結を目指す方針を明記し、市場を開放させるためあらゆる手段を用いるとしています。
-- NHK NEWS WEB