香港で反政府的な動きを取り締まる法律が施行されたことを受けて、イギリス政府は香港との犯罪人引き渡し条約を直ちに停止すると発表しました。
香港で、反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行されたことを受けて、イギリスのラーブ外相は20日、議会で声明を発表し、香港との犯罪人引き渡し条約を直ちに停止することを明らかにしたうえで「この条約が悪用されるのを避けることが確実にできるようになるまで対応は変更しない」と述べました。
香港との犯罪人引き渡し条約については、オーストラリアやカナダもすでに同様の措置に踏み切っています。
一方でラーブ外相は、気候変動への取り組みなどを挙げ、「中国との間で協力できる分野は多い」と述べ、中国との決定的な対立は避けたいという思いもにじませました。
ただイギリス政府は先週、次世代の通信規格「5G」をめぐって当初の方針を転換し、中国の通信機器大手 ファーウェイを2027年までに排除することを発表したほか、中国に返還されるまで香港に住む人を対象に発行していたパスポートによって、イギリスに滞在できる権利を大幅に拡充することを、すでに明らかにしています。
イギリスでは、ウイグル族の人たちの人権を侵害しているなどとして中国政府の対応への批判も強まっていて、両国の関係の悪化は避けられないとみられます。
-- NHK NEWS WEB