今年度の最低賃金の引き上げを議論してきた厚生労働省の審議会は、新型コロナウイルスの影響で中小企業の経営が厳しさを増していることを踏まえ、最低賃金を事実上、今の水準に据え置くことを決めました。
据え置きはリーマンショック後の平成21年度以来です。
最低賃金は、企業が従業員に最低限支払わなければならない賃金で、毎年、労使が参加する厚生労働省の審議会が引き上げ額の目安を示し、それをもとに都道府県ごとに決められます。
審議会は、20日から詰めの議論を重ねましたが、新型コロナウイルスの影響が幅広い産業に広がる中、労働組合側が、感染の不安の中で働く労働者に報いるためにも賃上げの流れを継続するよう求めたのに対し、経営者側はウイルスの今後の影響が見通せないため、雇用の維持を最優先にして賃上げは凍結すべきだと主張し平行線をたどりました。
このため、審議会は中小企業の置かれた厳しい状況や感染症の動向の不透明さ、それに雇用の維持が最優先であることを踏まえ、引き上げ額の目安を示すことは困難で、今の水準を維持することが適当だとして事実上、今の水準に据え置くとする答申をまとめました。
据え置きはリーマンショック後の平成21年度以来です。
最低賃金は、昨年度まで4年連続でおよそ3%の大幅な引き上げが行われていましたが、これによって今後、各地の労働局は都道府県ごとの最低賃金について引き上げを見送る見通しが高くなりました。
-- NHK NEWS WEB