日本国内での特許の出願件数の減少が続き、すでに新型コロナウイルスの影響から回復傾向にあるアメリカや中国との差が鮮明になっていることが分かりました。
特許庁はことし1月から5月までの特許の出願件数について、日本とアメリカ、中国の比較を行いました。
それによりますと、日本は1月から5月まで去年の同じ月を下回る状況が続き、5月は5%のマイナスとなっています。
これに対してアメリカは3月と4月は減少しましたが、5月には0.1%の増加となり、去年と同じ水準まで回復しているほか、中国は2月は落ち込んだものの3月以降はプラスに転じ、5月は23.4%の増加と大きく伸びていて、減少が続く日本と、一時の落ち込みから回復した米中との差が鮮明になっています。
今後の見通しについても、特許庁の調査に対して、機械や化学などを中心に「減少する」と答えた企業が多いということです。
これについて、日本知的財産協会の久慈直登専務理事は「リーマンショックの時に日本企業の業績が悪化して研究開発の力が落ちたが、新型コロナウイルスでもおそらく同じ現象が起きてくる。各社が技術や知的財産を共有し、全体の競争力を引き上げるよう意識の転換が必要だ」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB