EU=ヨーロッパ連合は、域内にある機関や企業にサイバー攻撃を行ったなどとして、ロシアや中国の個人や団体に対して口座の凍結などの制裁を科すと発表しました。
EUでは、フォンデアライエン委員長が先月、習近平国家主席らとの首脳会議の後に域内の病院が中国からのサイバー攻撃を受けていると批判したほか、ドイツのメルケル首相もロシアから標的にされていると議会で明らかにするなど、ロシアや中国からのサイバー攻撃が激しくなっているとして危機感を強めています。
こうした中、EUは30日、域内の機関や企業にサイバー攻撃を行ったとしてロシア人4人と中国人2人のほか、ロシアの情報機関や中国の企業などに対し、EU域内の口座の凍結や渡航禁止などの制裁を科すと発表しました。
発表によりますと、ロシア人4人はいずれもロシアの情報機関に所属していて、おととし、シリアの内戦で化学兵器が使われていないか調査していたOPCW=化学兵器禁止機関のネットワークに不正にアクセスしようとしたなどとしています。
また中国人2人はEUにも拠点がある多国籍企業の情報システムに繰り返し侵入を試み、商業上の重要なデータに不正にアクセスしたということです。
EUがサイバー攻撃をめぐって制裁に乗り出すのは初めてで、ボレル上級代表は「治安を維持し自由で民主的な社会の繁栄を守るという決意の表れだ」と意義を強調したうえで、国際社会と協力して監視を強化していく考えを示しました。
-- NHK NEWS WEB