太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の裁判所は、被告の日本企業の資産の差し押さえを命じた書類についてホームページで2か月間公開した結果、4日午前0時をもって、日本側に届いたとみなしました。今後、少なくとも数か月はかかるという見方がある資産の売却に向けた手続きに本格的に入る見通しですが、現金化が行われた場合、日本政府は対抗措置をとることも検討していて、日韓関係のさらなる悪化が懸念されています。
韓国では、最高裁判所がおととし10月、新日鉄住金、今の日本製鉄に対し、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人への賠償を命じる判決を言い渡しました。
これについて日本政府は、日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めていて、日本製鉄も賠償に応じていません。
こうした中、韓国の裁判所は、原告側の申し立てを受けて、ことし6月、韓国国内にある日本製鉄の資産として、韓国の鉄鋼大手との合弁会社の株式の差し押さえを命じた決定書などをホームページに公開する「公示送達」の手続きをとりました。
そして、2か月後の4日午前0時をもって日本製鉄側に書類が届いたとみなし、「公示送達」の効力が発生しました。
日本製鉄側は今後、即時抗告を行うとしています。
これから資産の売却に向けた手続きに本格的に入る見通しですが、韓国の複数の主要メディアは、資産の鑑定などで少なくとも数か月はかかるという見方を伝えています。
韓国政府が司法判断を尊重するとの立場を変えていない中、この先、裁判所が資産の売却を命じて現金化が行われた場合、日本政府は対抗措置をとることも検討していて日韓関係のさらなる悪化が懸念されています。
-- NHK NEWS WEB