北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏が猛毒のVXで殺害された事件で、3日に警察に釈放され、国外退去処分になった北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル氏(46)は3日夜、経由地の北京に向かう便でマレーシアを出国しました。
この事件でマレーシアの警察はリ・ジョンチョル氏を拘束して、事件との関連を調べてきましたが、関与を裏づける十分な証拠が得られなかったとして、勾留期限の3日午前、釈放しました。
その後、入国管理局に身柄を移されたリ氏は、マレーシアに不法に滞在していたとして、国外退去の処分を受け、現地時間の午後7時(日本時間午後8時)すぎにクアラルンプール国際空港から経由地の北京に向かう便で出国しました。
機内でのリ氏は、北朝鮮の当局者に付き添われ、目を閉じて座っていましたが、カメラを向けると手で遮るようなしぐさを見せ、報道陣が朝鮮語で話しかけても終始無言でした。
この事件では、キム・ジョンナム氏の顔にVXを塗りつけて殺害したとして、インドネシア人とベトナム人の女2人が、1日に殺人の罪で起訴されました。
しかし、事件で主導的な役割を果たした北朝鮮国籍の4人の男はすでに帰国したとみられ、警察が事情を聴きたいとしている大使館の2等書記官や、3日に警察が拘束するための令状をとった、北朝鮮国営の航空会社の職員についても北朝鮮側の協力を得る見通しはたっていません。
警察が拘束していた唯一の北朝鮮国籍の人物が3日に国外退去となったことで、北朝鮮の関与を明らかにするための警察の捜査はさらに難航するとみられます。
-- NHK NEWS WEB