新型コロナウイルス対策をめぐり安倍総理大臣は長崎市で記者会見し、医療提供体制はひっ迫していないとする一方、経済には甚大な影響が見込まれており、再び緊急事態宣言を出さずに済むよう、高齢者などへの感染予防策を徹底する考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は現在の感染状況について、新たな感染者が増加傾向にあり、警戒する必要はあるものの、入院や重症の患者は少なく、病床も確保されており、医療提供体制はひっ迫していないという認識を示しました。
一方、「リーマンショックを上回る甚大な影響が見込まれている。雇用や暮らしに与える影響を考えれば、感染をコントロールしながら、できるかぎり再宣言を避けるための取り組みを進めていかなければならない」と述べ、再び緊急事態宣言を出さずに済むよう、高齢者や基礎疾患がある人たちの感染予防策を徹底する考えを示しました。
そして、政府の分科会が示した感染状況を4つのステージに分けて判断するための指標も参考に、地域の実情を踏まえながら対策を講じていく考えを示しました。
さらに、ワクチンについて複数の企業との間で協議を進め、ほぼ全国民に相当する1億2000万人分を上回る供給を受けることで合意したとしたうえで、引き続き、十分な量を確保するため全力を挙げる考えを示しました。
また安倍総理大臣は、7日に閣議決定した総額1兆円を超える予備費を活用して、中小企業などを引き続き支援するとともに、医療機関に対しては、必要に応じてさらなる支援を検討する考えを示しました。
そして、観光需要の喚起策「Go Toトラベル」について「観光事業者と旅行者の双方に感染拡大防止策を実施してもらいながら、『ウィズ・コロナ』の時代の安全で安心な新しい旅のスタイルを普及、定着させたい」と述べ、継続して実施する方針を示しました。
また、お盆の帰省について一律の自粛は求めないとしたうえで、帰省の際には大人数の会食といった感染リスクの高い状況を控え、高齢者などへの感染につながらないよう十分注意してほしいと呼びかけました。
一方、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正の必要性について、「地方自治体からさまざまな意見をいただいている。まずは感染拡大の防止に全力で取り組み、事態が収束したあとにはよりよい仕組みと制度になるよう、しっかり検討する」と述べました。
-- NHK NEWS WEB