中国の向こう1年の重要政策を話し合う全人代=全国人民代表大会が5日から始まります。経済の減速に加えて、アメリカのトランプ大統領が中国との貿易不均衡を是正する考えを強調しているため、輸出に影響が出ることも予想されていて、経済成長率の目標を引き下げるかどうかが焦点です。
全人代は5日から今月15日まで、北京の人民大会堂で開かれます。
初日は、李克強首相が政府活動報告を行い、ことしの経済成長率の目標を示す見通しです。
中国経済は去年、政府が構造改革を進めるなかで、企業の設備投資が大きく伸び悩むなどしたため、成長率がおととしより0.2ポイント低い、6.7%のプラスにとどまり、目標としていた6.5%から7%の範囲にはおさまったものの、減速が一段と鮮明になりました。
中国政府は、ことしも構造改革を進めながら、財政出動を強化するなどして、景気の安定を図りたいとしていますが、重要な貿易相手であるアメリカのトランプ大統領が、中国との貿易不均衡を是正する考えを強調しているため、輸出に影響が出ることも予想されています。
このため、今回の全人代では、成長率の目標を引き下げるかどうかが焦点で、引き下げれば3年連続となり、中国経済の先行きへの懸念が広がる可能性も指摘されています。
中国はことし後半に、指導部の大幅な交代を伴うと見られる5年に1度の共産党大会を控えていますが、貧富の格差や汚職、それに深刻な大気汚染をはじめとする環境問題など、いくつもの大きな課題を依然として抱えています。このため、指導部としては党大会に向けて、国民の支持をつなぎとめるため、全人代で経済と社会の安定を最優先し、雇用対策や汚職撲滅にさらに積極的に取り組む姿勢を強調すると見られます。
-- NHK NEWS WEB