新型コロナウイルスの治療に関する研究が進む中、日本集中治療医学会などは、世界中の論文を分析し、患者の状態別に、どの治療薬が推奨できるかをまとめたガイドラインを初めて作成しました。
新型コロナウイルスは治療に関する研究が進んでいますが、病気のメカニズムは十分解明されておらず、患者の症状に合わせてさまざまな治療薬が使われています。
こうした中、日本集中治療医学会と日本救急医学会は、世界各国の研究論文などを分析したうえで、どのような状態の患者にどの薬を投与すべきかをまとめたガイドラインを初めて作成しました。
それによりますと、ステロイド剤の「デキサメタゾン」は中等症と重症の患者には投与を強く推奨する一方で、軽症の患者には逆に投与しないことを強く推奨しています。
また、国内で初めて新型ウイルス治療薬として承認された「レムデシビル」は、軽症の患者については効果が確認されておらず現時点で推奨していませんが、中等症や重症の患者への投与は弱く推奨するとしています。
さらに国内の製薬会社が開発し臨床研究が行われている「アビガン」は、軽症患者への投与は弱く推奨し、中等症と重症の患者への投与は現時点で推奨していません。
ガイドラインは2つの学会のホームページで公開する予定で、今後、新たな論文が出ればそのつど精査し、内容を更新することにしています。
日本集中治療医学会の西田修理事長は、「治療に関してさまざまな情報があふれる中、現場に役立つよう整理した。新型コロナウイルスは一刻も早く適切な治療を行うことが必要で、参考にしてもらいたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB