新型コロナウイルスのワクチンの開発が各国で活発になる中、世界の航空会社が加盟する団体は、空の便が大幅に減便されている現状では各国にワクチンを輸送できないおそれがあるとして、輸送手段についても早期に検討する必要があると、警鐘を鳴らしました。
世界のおよそ290の航空会社が加盟するIATA=国際航空運送協会は、9日、新型コロナウイルスのワクチンの輸送に関する声明を出しました。
それによりますと、世界人口の78億人全員に1回分のワクチンを提供する場合、その量はボーイング747型の貨物機8000機の積載量に相当するとしています。
また、ワクチンを輸送する貨物機を優先的に運航し、乗員の隔離措置も免除するなどの特別な措置を講じる必要があるとしています。
しかし、感染拡大の影響で空の便が大幅に減便され、多くの航空機がすぐに稼働できない現状では、仮にワクチンが開発されても、深刻な輸送力不足に陥る恐れがあると、指摘しています。
IATAのドジュニアック事務局長は声明の中で、「世界の航空業界はこれまでで最も大きな挑戦に直面することになる」として、各国に対して、ワクチンの開発と並行して、輸送手段についても早急に検討する必要があると、訴えました。
-- NHK NEWS WEB