イギリスのジョンソン政権がEU=ヨーロッパ連合と合意した離脱の取り決めをほごにする法案を提出し、期限が迫る自由貿易協定の締結が危機的な状況になっていることを受け、イギリスとEU各国の自動車の業界団体は共同で緊急の声明を出し、協定なしでは双方の業界が壊滅的な打撃を受けるとして早期の締結を訴えました。
経済的な結び付きが極めて強いイギリスとEUは、離脱のあとの移行期間が年末に終わったあとも円滑な通商関係が維持できるよう、年内に自由貿易協定を締結することを目指しています。
しかし、イギリスのジョンソン政権がEUと合意していた離脱に関する取り決めをほごにする法案を議会に提出し、EUから強い非難を受けていて、協定の締結は危機的な状況になっています。
これを受けて、イギリスとEU各国の自動車の業界団体は14日、共同で緊急の声明を出し、協定のないまま移行期間が終了すれば、自動車に新たに10%の関税がかかるようになって需要の落ち込みを招き、業界全体の損失は今後5年間で1100億ユーロ(日本円で13兆円)を超えると訴えました。
そのうえで、協定なしでは、新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込んでいる双方の業界がさらに打撃を受けることになるとして、自由貿易協定の早期の締結を求めています。
日本メーカーにとっても、イギリスで作った車をEU各国に輸出していることなどから協定の締結は欠かせず、先行きへの懸念が一段と強まっています。
-- NHK NEWS WEB