アメリカのトランプ政権が発動した中国からの輸入品に関税を上乗せする制裁措置について、WTO=世界貿易機関は国際的な貿易ルールに違反しているという判断を示しました。米中の一連の貿易摩擦をめぐってWTOが判断を示すのは初めてです。
アメリカのトランプ政権は2018年、中国がアメリカ企業のハイテク技術などを不当に手に入れて知的財産権を侵害しているとして、通商法301条に基づき中国からの輸入品に25%の関税を上乗せする制裁措置を発動しました。
これに反発する中国が貿易紛争の解決を担う国際機関のWTOに提訴し、1審にあたる小委員会で審理が進められていました。
WTOは15日、小委員会が判決にあたる報告で中国の訴えを認め、アメリカの制裁措置が国際的な貿易ルールに違反しているという判断を示したことを明らかにしました。
報告の中でWTO小委員会は、アメリカが制裁措置の実施について正当な根拠を示していないなどと指摘しています。
アメリカのトランプ政権と中国の一連の貿易摩擦をめぐってWTOが判断を示すのは初めてです。
WTOの紛争解決手続きは2審制のため、異議がある場合は上訴できることになっていますが、2審にあたる上級委員会は現在アメリカの反対で必要な数の委員を確保できず、機能停止に陥っています。
アメリカ政府はWTOの判断を非難する声明を出す一方、上訴するかどうかについては明らかにしていません。
-- NHK NEWS WEB