地方公務員の遺族補償年金の受給に男女差があるのは法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、教師だった妻を亡くした夫が訴えた裁判は憲法に違反しないとする2審の判決が、最高裁判所で確定する見通しになりました。
地方公務員が公務で亡くなった際に支給される遺族補償年金は、法律の規定で、夫が亡くなった場合は妻の年齢に関係なく支給される一方で、妻が亡くなった場合は夫が55歳以上でないと支給されません。
大阪・堺市の男性は、19年前に中学校の教師だった妻を亡くしましたが、当時、男性は51歳だったため遺族補償年金の支給が認められず、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」と訴えていました。
1審の大阪地方裁判所は「男女の差別的な扱いに合理性はなく憲法に違反する」とした初めての判断を示しました。
しかし2審の大阪高等裁判所は「男女の賃金などには差があり、夫を亡くした場合、妻が1人で生計を維持できなくなる可能性は高いが、逆の可能性は著しく低い。性別による区別を設けたことが合理性を欠くとはいえない」として1審とは逆に憲法には違反しないと判断し男性の訴えを退けていました。
これについて最高裁判所第3小法廷は今月21日に判決を言い渡すことを決めました。判断を変更する際に必要な弁論が開かれていないため法律の規定は憲法に違反しないという2審の判決が確定する見通しになりました。
-- NHK NEWS WEB