日立製作所はイギリスの原子力発電所の建設計画から撤退することを決めました。海外での原発の建設によって原子力事業を手がける日本企業の収益源の確保や技術の継承を進めるという政府の成長戦略も、難しい局面を迎えています。
発表によりますと日立は16日の取締役会でイギリス中部・アングルシー島で進められている原子力発電所の建設計画から撤退することを決めました。
この計画をめぐって日立は、安全対策などでコストが膨らみ事業の採算性の確保が見通せないとして、去年1月、計画への参加を凍結すると明らかにしていました。
その後もイギリス政府に対し支援の拡大を求めてきましたが、交渉が進展しないまま1年半以上がすぎ、新型コロナウイルスの感染拡大もあって資金調達が難しくなったとして、撤退することを決めたということです。
日立では凍結の時点で関連する損失を計上しているとして、撤退に伴う今後の業績への影響は軽微だとしています。
この計画は、海外での原発の建設によって原子力事業を手がける日本企業の収益源の確保や技術の継承を進めるという政府の成長戦略の一端を担うものとされてきました。
しかし今回の日立の撤退によって、日本企業が手がけている海外の事業は事実上なくなるため、政府の戦略も難しい局面を迎えています。
-- NHK NEWS WEB