北朝鮮の銀行が、中国やマレーシアに設立したフロント企業や海外の代理人を通じて武器輸出などの不正な取り引きを繰り返していることが、国連安全保障理事会の専門家パネルの報告書で明らかになりました。
北朝鮮に対する安保理制裁決議の実施状況を調べている専門家パネルは、年次報告書をまとめ公表しました。
それによりますと、北朝鮮が決議違反に当たる武器輸出や軍事協力のほか不正な金融取り引きを行って資金を北朝鮮に送金していると指摘しています。このうち武器輸出では、去年8月、エジプト政府が拿捕(だほ)した貨物船の積み荷の中から過去最多の押収量となる北朝鮮製のロケット弾およそ3万発が見つかった事例を挙げています。また、アフリカのアンゴラとウガンダで兵士に対する軍事訓練を行ってきたと指摘しています。
さらに、金融取り引きでは、制裁対象になっている北朝鮮の銀行や団体が中国やマレーシア、インドネシアにフロント企業を設立し、現地の企業との合弁企業を立ち上げたり、代理人を立てたりすることで、武器や鉱物の輸出で得た資金を正規の取り引きに見せかけて、北朝鮮に送金しているとしています。
安保理は、これまでも北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源を断つために数々の制裁決議を採択してきました。報告書では、決議を実行するためにさらなる措置が必要だと指摘していて、北朝鮮が6日、弾道ミサイルを発射したことを受けて、日本時間の8日遅くにも開催する安保理の緊急会合でも議論される見通しです。
-- NHK NEWS WEB