国が実用化を目指す、プルトニウムを燃料にする高速炉の国内唯一の実験施設「常陽」の運用再開が、予定の2022年度末に間に合わず、目標を見直すことがわかりました。
日本原子力研究開発機構は、2024年度以降に再開させたいとしていますが、高速炉開発は全体として先行きが見通せない状況です。
プルトニウムを燃料に使う高速炉の開発をめぐっては、実用化を見据えて福井県につくられた高速炉「もんじゅ」がトラブルやコストを理由に4年前に廃炉が決まり、茨城県にある小型の「常陽」が唯一の実験用の高速炉となっています。
「常陽」はトラブルで2007年から運用が止まり、現在は原子力規制委員会の審査を受けていて、原子力機構は審査終了後に工事を行って、2022年度末に運用を再開する予定でした。
しかし、審査の合格時期が見えず、地震や火災対策の工事や検査などに3年程度かかる見通しとなったことから、2022年度は間に合わず、目標を見直すことになりました。
原子力機構は、2024年度以降、国内メーカーなどが「常陽」で実験を計画していることから、それまでには再開させたいとしていますが、具体的な時期は決まっていません。
高速炉の開発は、「もんじゅ」の廃炉に続き、共同で研究を進めているフランスも高速炉の建設計画を当面見送る方針で、全体として開発の先行きが見通せない状況となっています。
-- NHK NEWS WEB