インフルエンザの治療薬「アビガン」について、薬を開発した会社が新型コロナウイルスに感染した患者に投与する治験で一定の有効性が確認されたと発表しました。
来月中にも新型コロナウイルスの治療薬としての承認申請を行うとしています。
「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発した抗ウイルス薬で、これまで、比較的症状が軽い新型コロナウイルスの患者に対して、状態を観察する研究の枠組みで投与が行われてきました。
富士フイルムによりますと、患者に投与して国の承認を目指すための治験で、20歳から74歳までの患者156人について、症状が改善してPCR検査で陰性になるまでの期間を調べたところ、アビガンを投与しなかったグループでは14.7日だったのに対し、投与したグループでは11.9日と、およそ3日間短かったということです。
また、これまでに知られている腎機能や肝機能が低下するなど以外の副作用は見られず、安全性に関する新たな懸念はなかったとしています。
これを受け、会社は来月中にも新型コロナウイルスの治療薬としての承認申請を行うとしています。
「アビガン」の治験は当初は6月末までの予定でしたが、いったん感染者が少なくなったなどの理由で予定を延長して続けられ、この間、7月には藤田医科大学などのグループが患者88人に投与した臨床研究で統計的に明確な有効性は確認できなかったなどとする結果を発表していました。
新型コロナウイルスの治療薬はこれまでにエボラ出血熱の治療薬として開発が進められた「レムデシビル」が承認され、ステロイド剤の「デキサメタゾン」が推奨されています。
-- NHK NEWS WEB