「雑音があると、ことばが聞き取れない」「聞き返しや聞き間違いが多い」聴力は正常でも人混みなど雑音の多い場所だと必要な話を選び取れず理解できなくなってしまう、APD=聴覚情報処理障害と呼ばれる症状があります。症状に悩む人たちがオンライン上で交流会を開いて聞き取れなかった時にどう状況を改善させているか対処法を話し合いました。
この交流会は、症状がある人たちでつくる当事者会のメンバーが仕事や日常生活で抱える悩みを共有しようと開いたもので、高校生や主婦、それに会社員らが参加しました。
交流会では参加した人たちから新型コロナウイルスの影響で「職場でオンライン会議が増えて話の内容を聞き取れず、理解できない」とか、「買い物ではレジのあるカウンターに透明のカーテンがつるされたり、店員がマスクを付けたりしていてうまくやり取りできない」といった声が相次ぎました。
また、「話の内容がわからないまま相手の気分を損ねないよう、相づちを打って話を聞いているふりをしている」といったエピソードが紹介されると、大きくうなずく参加者の姿も見られました。
このほか、10年以上症状に悩んできたという58歳の女性が「職場で電話をうまく取りつげなかったり、上司の指示が聞き取れず転職を繰り返した」と悩みを打ち明ける場面もありました。
そして、うまく聞き取れなかった時はなるべく丁寧なことばで聞き返すほか、聞き取れなかった部分を確認する、また、症状があることを周りに伝えてなるべくゆっくり、はっきりと話してもらうなどといった対処法をそれぞれ紹介しました。
APD=聴覚情報処理障害は、脳の神経機能の問題などが原因とも指摘されていますが、詳しい原因はわかっておらず明確な治療法もありません。日本ではあまり知られておらず、周囲に理解されにくいことから悩みを抱えている人も多いとして、APD当事者会は、今後も定期的に交流会を開いて悩みや対処法などを共有したいとしています。
-- NHK NEWS WEB