東日本大震災からの復旧・復興を進めるため、国や自治体が支出した補助金や助成金のうち、不正受給などの疑いがある支出の総額は少なくとも37億円に上り、このうち返還が確認されたのはおよそ7億円にとどまっていることがNHKの取材でわかりました。
NHKが震災の復興事業などを管轄する省庁や被災した自治体などを取材したところ、これまでに支出された補助金や助成金のうち、不正受給や不適正な受給の疑いがあるとされたのは、少なくとも10の都道府県の30の企業や団体で、総額は37億円余りに上ることがわかりました。
このうち、宮城県は雇用創出の助成金、合わせて9200万円を不適正に受給した疑いがあるとして4つの企業に返還を命じました。
また、被災した中小企業のグループが施設の復旧費用のうち最大で4分の3まで補助を受けられる「グループ補助金」では、岩手、宮城、福島の5つの企業が合わせて7億2000万円を不正に受給したとされています。
こうしたケースでは、支出した国や自治体が返還命令などを出しますが、これまでに返還されたのは全体の20%にあたるおよそ7億円にとどまっています。
岩手県山田町で活動していた北海道旭川市のNPO法人「大雪りばぁねっと」は、補助金をマンションやスーツなど不適切な使いみちに使ったとして町がおよそ6億7000万円の損害賠償を求めて裁判が行われていますが、NPO法人は破産し、回収のめどはたっていません。
-- NHK NEWS WEB