新型コロナウイルスに感染してことし4月に肺炎で亡くなった広島県三次市の80代の女性の遺族が、当時利用した訪問介護の運営会社に対し、賠償を求める訴えを起こしたことについて、運営会社が女性の死亡に哀悼の意をささげることなどを条件に双方が和解しました。
新型コロナウイルスに感染してことし4月に肺炎で死亡した広島県三次市の82歳の女性について、遺族が、市内の介護事業所から派遣されたホームヘルパーが感染していたのに、安全対策を怠ったため女性が自宅で介護を受けて感染したと主張し、事業所の運営会社に対し、4400万円の賠償を求める訴えを広島地方裁判所に起こしていました。
遺族の弁護士などによりますと、遺族と運営会社の双方が話し合いをした結果、運営会社が女性の死亡に哀悼の意をささげることや、賠償の義務が無いことの確認などを条件に双方が和解し、遺族は12日付けで訴えを取り下げたということです。
これについて遺族は、「被告から母の死に哀悼の意をささげていただき、裁判を取り下げることにしました。介護の現場で、感染リスクを冒しながら懸命に頑張る介護従事者に尊敬と感謝の念を抱いており、裁判の影響で萎縮や混乱が生じないことを願います」とするコメントを出しました。
一方、訪問介護の運営会社は「裁判が続くと介護に携わる人がいなくなるという危機感があったので、和解により介護従事者の萎縮の解消につながりよかったと思います」と話しています。
-- NHK NEWS WEB