5年前、大阪・ミナミの繁華街で2人が包丁で刺されて殺害された通り魔事件で、殺人などの罪に問われた被告に、大阪高等裁判所は「無差別殺人を決めたのは犯行直前で計画性は低く、死刑がやむをえないとまでは言えない」などとして、1審の死刑を取り消し、無期懲役を言い渡しました。
住所不定、無職の礒飛京三被告(41)は平成24年6月、大阪・東心斎橋の繁華街で、通りがかったイベント会社の42歳の男性プロデューサーと、飲食店経営の66歳の女性を包丁で刺して殺害したとして殺人などの罪に問われ、1審の大阪地方裁判所は「凶悪な無差別殺人だ」として死刑を言い渡しました。
被告側は控訴し、2審の裁判で弁護士は「『刺せ』という幻聴に従わざるをえなかったなど、当時善悪を判断する能力が十分ではなかった」として、死刑は重すぎると主張しました。
9日の判決で、大阪高等裁判所の中川博之裁判長は「精神鑑定の結果、被告には完全な刑事責任能力があった」と指摘しました。
そのうえで「事件の10数分前に凶器の包丁を購入するなど、無差別殺人を決めたのは犯行直前で計画性は低い。以前使用した覚醒剤の後遺症による精神障害があり、刑の重さを決める際に障害を考慮しないとした1審判決は行きすぎで、死刑がやむをえないとまでは言えない」として1審の死刑を取り消し、無期懲役を言い渡しました。
-- NHK NEWS WEB