航空大手の「ANAホールディングス」は、食品廃棄物などを原料とする二酸化炭素の排出が少ないジェット燃料を来月から使用することになりました。新型コロナウイルスの影響で経営が厳しくなるなか、燃料のコストは膨らみますが、世界的な環境規制の強化に対応するため、導入に踏み切ります。
ANAが導入するジェット燃料は、食肉加工の過程で捨てられる脂身などの廃棄物が原料で、フィンランドの会社から供給を受けます。
これまでの石油由来の燃料と比べて、排出される二酸化炭素の量は製造過程も含めるとおよそ9割削減できるということです。
石油由来ではない燃料で利用客を乗せて飛行するのは国内では初めてで、来月から羽田や成田を出発する便で使用を始めます。
ANAは、新型コロナウイルスの影響で今年度は5000億円規模の最終赤字に陥る見通しで、厳しい経営が続くなか、新たな燃料の導入はコストが膨らむことになります。
それでも、新たな燃料を導入するのは世界的に強化されている航空機への環境規制にいち早く対応するねらいがあり、石油由来ではない燃料を導入する動きはさらに広がることが予想されます。
全日空調達部の吉川浩平マネジャーは、「石油以外を原料とする燃料は、まだ生産量が限られ、確保が難しいので一朝一夕にはいかない。新型コロナで厳しい経営環境にあるが、長期的な視野で取り組んでいく」と話しています。
-- NHK NEWS WEB