アメリカの半導体メーカーから企業秘密を盗み出したとして、産業スパイの罪で中国企業とともに起訴されていた台湾の半導体大手UMCは、アメリカ司法省に対して起訴内容の一部を認め、日本円で60億円余りの罰金の支払いに応じました。
アメリカ司法省はおととし11月、アメリカの半導体大手マイクロンテクノロジーからDRAMと呼ばれる記憶用の半導体に関する情報を盗み出したとして、中国・福建省の企業と台湾のUMCなどを産業スパイの罪で起訴しました。
盗まれた情報は最大87億5000万ドルの価値があるとされましたが、UMCは29日、企業秘密の一部を侵害したことを認め、罰金6000万ドル、日本円で60億円余りの支払いに応じると発表しました。
アメリカ司法省によりますと、この種の事件の罰金としては過去2番目に高い金額です。
支払いは3年間猶予され、その間、UMCは福建省の企業に対する司法省の調査に協力するということです。
福建省の企業は、DRAMの国産化を目指す中国の国策のもとで2016年ごろ設立され、UMCが製造工程の開発を支援する協定を結び、マイクロンからUMCに転職した台湾出身の社員がこの提携に関わっていました。
この事件によって福建省の企業のDRAM生産は暗礁に乗り上げ、ハイテクをめぐる米中対立が激しさを増す中で、両者と関係の深い台湾企業の微妙な立場も浮き彫りにしました。
-- NHK NEWS WEB